小山保家　銀座の柳の風景　木版染名古屋帯　銀座もとじ扱【中古】

緯糸に節のある座繰りの生紬の生地が、ややオレンジ色味のあるベージュ・浅黄色に染められ、小川のような流水が流れ、その水辺には3本の枝垂れる柳と、傍らにはガス燈が灯り、人力車が停め置かれているといった、明治期や大正期の銀座の街角と思われる風景が、木版染で巧みに描かれた、お洒落な九寸名古屋帯です。
小山保家さん、お若い頃に日本画家を目指して川端画学校の日本画科で学ばれましたが、関東大震災を期に染色の道に入られ、しばらくは友禅のお仕事をされていていました。
その後、芹沢けい介さんの元で型絵染を学ばれ、木版染めの魅力にとりつかれて独学で研究を続けながら試行錯誤を続けられ、1959年に伝統工芸展に初出品されてから、1990年代まで連続入選、その素晴らしい作品は各賞を受賞、文化庁買い上げや各地の美術館買い上げなどの功績を残されました。

木版染めの技法は正倉院裂などにも見られるほどに歴史がありますが、ほうのきや桜の木で作られた3、4cm角の大きさの版木に染料をつけて、ひとつずつの小さな柄を置いていき、その連続で模様を作り出していくものです。
ひと柄ずつ鎚でたたいて染め出していくそうですが、その力加減によってニュアンスが変わるため、それを上手く使い分けられてこそ素晴らしい作品が生まれるそうです。
下絵となるスケッチを重ね、構想を練ってデザインを考え、実物大の下絵を描いて、それに沿って版木を操り、染め出していく。
非常に時間と根気と技術を要し、絵心と鋭い感性を必要とするものである事は確かです。
こちらの作品でも、図案の輪郭は約1.5～2cmの長さの線の集合で描かれていて、動きのある柳の幹も楽しく描かれ、その葉も一枚ずつ丁寧に染められ、柳のたおやかなさも美しく描かれているようです。

眺めても、身に着けても美しいという事をテーマにされていたようで、こちらの作品も活き活きとして新鮮で、すぐにでもお気に入りの紬のお着物に合わせてみたいと思ってしまいます。
ノスタルジックな模様がとても魅力的で、個性的で素敵な装いを実現してくれそうです。
お稽古事にも、ご友人とのお食事の会や音楽鑑賞、美術鑑賞にも、また街着としてもお召しいただけます。
帯という小作品の中に込められた昭和の巨匠の技と、洗練されたデザインや色使いに改めて感動を覚える、希少性も高いおすすめの作品です。

【小山保家】
1903年 長野県上田市に生まれる
1920年 両親と上京
1924年 川端画学校日本画科卒業
1925年 石塚市太郎先生に友禅の教えを受ける
1945年 萌黄会（のち萌木会）会員として10年間芹沢銈介先生に型絵染を学ぶ
1948年 国展に初入選
1953年 版染めの研究を始める
1959年 日本伝統工芸展に木版染の訪問着を出品
その後も続けて出品・受賞を重ねる
1973年 社団法人日本工芸会理事に就任
その後も伝統工芸展出品・美術館や文化庁の買い上げとなる

地の色は浅黄（うすき）「和色大辞典　#e6cca1」https://www.colordic.org/colorsample/e6cca1
流水の色は錆浅葱「和色大辞典　#5c9291」https://www.colordic.org/colorsample/5c9291
ガス燈の色は暗紅色「和色大辞典　#803363」https://www.colordic.org/colorsample/803363
水浅葱「和色大辞典　#80aba9」https://www.colordic.org/colorsample/80aba9
高麗納戸「和色大辞典　#2c4f54」https://www.colordic.org/colorsample/2c4f54
をご参照下さい。


◆サイズ
長さ：3 m 78 cm ／ 1 丈 0 尺 0 寸 0 分
太鼓巾：30.4 cm ／ 8 寸 0 分
前巾：16 cm ／ 4 寸 2 分

◆詳細
状態：リサイクル品
付属品：なし

◆商品コード：2020000024163